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障害者ピアサポート研修とは?基礎・専門研修の内容と全国の実施団体・最新情報を探す方法が丸わかり

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障害者ピアサポート研修とは?基礎・専門研修の内容と全国の実施団体・最新情報を探す方法が丸わかり

「ピアサポート体制加算を取りたいけど、職員にどんな研修を受けさせればいいの?」

「ピアサポーターとして働きたいけど、その研修って、どこで受けられるんだろう…」

「自分の県で、今年度の研修募集はまだ間に合う?」

障害福祉の現場で、今、あなたもこのような情報探しに、時間と労力を費やしているのではないでしょうか。
「障害者ピアサポート研修」は、新しいキャリアや事業所の体制強化に不可欠な鍵。しかし、その情報は各都道府県に散在しており、必要な情報にたどり着くのは容易ではありません。

この記事では、ピアサポート研修の全体像から、基礎・専門研修の具体的な内容、そして最も知りたいであろう「あなたの地域で研修を探すための具体的な方法」まで、どこよりも分かりやすく、体系的に解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたはもう情報探しに迷いません。受講すべき研修が明確になり、次の具体的なアクション(申し込みや職員への案内)を、自信を持って起こせるようになっているはずです!

目次
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障害者ピアサポート研修とは?|加算の要件となる重要な研修

障害者ピアサポート研修の核心に触れる前に、まずこの研修がどのような目的を持ち、なぜ今、福祉現場で非常に重要視されているのか、その全体像を掴んでおきましょう。

この背景を理解することが、研修の価値を正しく認識する第一歩となります。

研修の目的|「仲間(ピア)」を支える専門的な知識と技術の習得

障害者ピアサポート研修とは、一言で言えば、障害のある当事者が、自らのリカバリー(回復・自立)の経験を活かし、同じ悩みを持つ他の仲間(ピア)を支援するための、専門的な知識と技術を体系的に学ぶ研修です。

ここでの「支援」とは、専門職が行うような指導や治療ではありません。あくまで対等な立場で相手の話を丁寧に聴き(傾聴)、その気持ちに寄り添い(共感)、その人自身が持つ力(ストレングス)を引き出し、自己決定を支えること。

このピアサポート特有の理念や倫理、そして対話の技術を身につけることが、この研修の最大の目的です。

なぜこの研修が重要なのか?|ピアサポート体制加算との密接な関係

この研修が今、特に注目されている最大の理由は、障害福祉サービスの報酬制度である「ピアサポート体制加算」の算定要件と、密接に結びついているからです。

事業所がこの加算を取得するためには、配置するピアサポーターが、都道府県や指定都市が認める「障害者ピアサポート研修」を修了していることが必須条件となります。

つまり、この研修は、単なるスキルアップのための学びというだけでなく、事業所の収益向上と、質の高い支援体制の証明に直結する、極めて重要な意味を持っているのです。

※ピアサポート体制加算そのものについては、「【令和6年度改定対応】ピアサポート体制加算とは?算定要件・単位数・対象サービスを徹底解説」で詳しく解説しています。

受講するメリット|個人と事業所、双方にとっての価値

この研修を受けることは、受講者本人と、その人が所属する事業所の両方に、大きなメリットをもたらします。

受講者本人(当事者)のメリット所属事業所のメリット
専門性の獲得自身の経験を、客観的で体系的な知識・技術へと昇華させ、ピアサポーターという専門職としての自信とキャリアを築ける。専門的な研修を受けた職員がいることで、事業所全体の支援の質が向上し、利用者への提供価値が高まる。
役割の明確化「ピアサポーター」という明確な役割と称号を得ることで、組織内での存在価値が高まり、仕事へのモチベーションが向上する。ピアサポート体制加算を算定できるようになり、事業所の収益が安定・向上する。
ネットワーク形成同じ志を持つ、他の事業所や地域の仲間(ピア)と繋がり、情報交換や相互の学び合いができるコミュニティに所属できる。地域のピアサポートネットワークに参加することで、事業所の認知度が向上し、他の機関との連携が強化される。

【レベル別】ピアサポート研修の種類とカリキュラム内容

障害者ピアサポート研修は、国が示した標準的なカリキュラムに基づき、主に「基礎研修」「専門研修」「指導者養成研修」の3つのレベルに分かれています。ここでは、特に加算要件と関わりの深い、基礎研修と専門研修の内容を詳しく見ていきましょう。

ステップ1:ピアサポート基礎研修|すべての土台となる9.5時間

これは、ピアサポーターとしての第一歩を踏み出すための、最も基本的な研修です。

目的と対象者

【目的】ピアサポートの基本的な理念や倫理、活動の進め方を理解し、ピアサポーターとしての基本的な姿勢と対話の技術を習得することを目的とします。
【対象者】事業所に雇用されており、自らの経験を活かしてピアサポーターとして活動することを希望する障害のある方などが対象です。

標準的なカリキュラム内容(理念、倫理、傾聴の基礎など)

厚生労働省が示す標準カリキュラムでは、合計9.5時間(講義4時間+演習5.5時間)の内容が定められています。主な内容は以下の通りです。

  • 障害福祉の現状とピアサポートの必要性
  • ピアサポートの理念と活動の目的
  • ピアサポーターとしての基本姿勢と倫理
  • リカバリーを支える関わり(傾聴、共感、自己決定の尊重など)
  • グループでの対話や分かち合いの演習

この研修を修了することで、ピアサポート体制加算(Ⅰ)の算定要件を満たすことができます。

ステップ2:ピアサポート専門研修|加算(Ⅱ)の要件となる14.5時間

基礎研修を修了した人が、さらに専門性を高めるための、より上位の研修です。

目的と対象者(基礎研修修了者など)

【目的】より専門的な相談援助技術を習得するとともに、事業所内で他の職員に対し、ピアサポートの視点から助言や指導(スーパービジョン)を行う能力を養うことを目的とします。
【対象者】原則として、基礎研修を修了し、ピアサポーターとしての実務経験を持つ方などが対象です。

標準的なカリキュラム内容(専門的な相談技術、スーパービジョンなど)

標準カリキュラムは、合計14.5時間(講義5.5時間+演習9時間)と、より実践的な内容になっています。

  • 専門的な相談援助技術(動機づけ面接、問題解決技法など)
  • 他の職員への効果的な伝え方、助言の方法(スーパービジョン)
  • 個別支援計画への関わり方
  • 困難なケースへの対応に関する演習

この専門研修を修了し、かつ1年以上の実務経験を積むことで、ピアサポート体制加算(Ⅱ)の算定要件を満たす「ピアサポート専門員」として認められます。

ステップ3:指導者養成研修|ピアサポートのリーダーを育成する

これは、ピアサポーターを養成する側の「指導者(ファシリテーター)」を育成するための、最も上位の研修です。専門研修を修了し、十分な実務経験とリーダーシップを持つ人が対象となります。この研修を修了することで、都道府県から委託を受けて、自らが基礎研修や専門研修の講師として活躍する道が拓けます。

研修の種類と加算要件の関係性まとめ

これまでの内容をまとめると、研修と加算の関係は以下のようになります。

  • ピアサポート体制加算(Ⅰ)を算定したい → 職員に「基礎研修」を受けてもらう必要がある。
  • ピアサポート体制加算(Ⅱ)を算定したい → 職員に「基礎研修」と「専門研修」の両方を受けてもらい、かつ1年以上の実務経験を積んでもらう必要がある。

【最重要】全国のピアサポート研修の探し方と申込方法

「研修の種類はわかった。では、肝心のその研修は、どこで探せばいいの?」このセクションでは、多くの人が最も知りたい、具体的な研修の探し方について解説します。

基本的な探し方|「都道府県名+ピアサポート研修」で検索する

障害者ピアサポート研修は、各都道府県または指定都市が実施主体となり、地域のNPO法人や社会福祉法人などに委託して行われるのが一般的です。

そのため、研修情報を探す最も確実な方法は、Googleなどの検索エンジンで「〇〇県 障害者ピアサポート研修」や「△△市 ピアサポーター養成研修 募集」のように、お住まいや事業所の所在地の都道府県・市町村名と組み合わせて検索することです。

これにより、管轄する行政の担当部署や、実際に研修を運営する団体のウェブサイトにたどり着くことができます。

【47都道府県】研修実施主体(担当部署)の公式情報リンク集

皆さんが情報にたどり着きやすいよう、全国47都道府県の障害福祉を管轄する部署のウェブサイトへのリンクを以下にまとめました。多くの場合、これらのサイトの「事業者向け情報」や「研修・イベント情報」のセクションで、ピアサポート研修の募集案内が掲載されます。

ぜひ、あなたの地域の情報をブックマークして、定期的にチェックしてみてください。

47都道府県 障害福祉担当部署 リンク一覧

都道府県障害福祉担当部署 ウェブサイト
北海道・東北
北海道北海道 保健福祉部 福祉局 障がい者保健福祉課
青森県青森県 健康福祉部 障害福祉課
岩手県岩手県 保健福祉部 障がい保健福祉課
宮城県宮城県 保健福祉部 障害福祉課
秋田県秋田県 健康福祉部 障害福祉課
山形県山形県 健康福祉部 障がい福祉課
福島県福島県 保健福祉部 障がい福祉課
関東
茨城県茨城県 保健医療部 障害福祉課
栃木県栃木県 保健福祉部 障害福祉課
群馬県群馬県 健康福祉部 障害政策課
埼玉県埼玉県 福祉部 障害者福祉推進課
千葉県千葉県 健康福祉部 障害福祉事業課
東京都東京都 福祉局 障害者施策推進部
神奈川県神奈川県 福祉子どもみらい局 福祉部 障害福祉課
中部
新潟県新潟県 福祉保健部 障害福祉課
富山県富山県 厚生部 障害福祉課
石川県石川県 健康福祉部 障害福祉課
福井県福井県 健康福祉部 障がい福祉課
山梨県山梨県 福祉保健部 障害福祉課
長野県長野県 県民文化部 障がい者支援課
岐阜県岐阜県 健康福祉部 障害福祉課
静岡県静岡県 健康福祉部 障害者支援局 障害福祉企画課
愛知県愛知県 福祉局 福祉部 障害福祉課
近畿
三重県三重県 子ども・福祉部 障がい福祉課
滋賀県滋賀県 健康医療福祉部 障害福祉課
京都府京都府 健康福祉部 障害者支援課
大阪府大阪府 福祉部 障がい福祉室
兵庫県兵庫県 健康福祉部 障害福祉局 障害福祉課
奈良県奈良県 福祉医療部 障害福祉課
和歌山県和歌山県 福祉保健部 福祉保健政策局 障害福祉課
中国・四国
鳥取県鳥取県 福祉保健部 ささえあい福祉局 障がい福祉課
島根県島根県 健康福祉部 障がい福祉課
岡山県岡山県 保健福祉部 障害福祉課
広島県広島県 健康福祉局 障害者支援課
山口県山口県 健康福祉部 障害者支援課
徳島県徳島県 保健福祉部 障がい福祉課
香川県香川県 健康福祉部 障害福祉課
愛媛県愛媛県 保健福祉部 障がい福祉課
高知県高知県 子ども・福祉政策部 障害福祉課
九州・沖縄
福岡県福岡県 福祉労働部 障がい福祉課
佐賀県佐賀県 健康福祉部 障害福祉課
長崎県長崎県 福祉保健部 障害福祉課
熊本県熊本県 健康福祉部 障がい者支援課
大分県大分県 福祉保健部 障害福祉課
宮崎県宮崎県 福祉保健部 障がい福祉課
鹿児島県鹿児島県 くらし保健福祉部 障害福祉課
沖縄県沖縄県 子ども生活福祉部 障害福祉課

※部署名やURLは変更される場合があります。

募集時期と申込の注意点|年度初めのチェックが基本

ピアサポート研修は、年間を通じて常時開催されているわけではありません。多くの場合、年度ごとに実施計画が立てられ、年に1〜2回程度の開催となります。

募集は、研修開始の数ヶ月前から行われることが多いため、特に年度の始まりである4月〜6月頃に、お住まいの都道府県のウェブサイトをこまめにチェックするのがおすすめです。定員が限られているため、募集が開始されたら、速やかに申し込むことが重要です。

ピアサポート研修に関するQ&A

ここでは、研修に関してよく寄せられる質問について、Q&A形式でお答えします。

Q. 研修の受講に資格や費用は必要ですか?

A. 【資格】多くの場合、受講資格として「事業所に雇用されている障害当事者であること」などが定められています。学歴や他の資格は問われません。
【費用】都道府県が実施する研修は、多くの場合、受講料は無料またはテキスト代のみといった、非常に安価な価格設定になっています。ただし、研修会場までの交通費や昼食代は自己負担となります。

Q. オンラインやイーラーニングで受講できる研修はありますか?

A. 新型コロナウイルス感染症の流行以降、オンライン形式(Zoomなど)や、eラーニングを組み合わせた研修を実施する自治体が増えています。これにより、遠隔地からでも参加しやすくなりました。ただし、対話や演習の重要性から、一部または全てのプログラムを対面形式で実施する自治体も依然として多いです。募集要項で、開催形式を必ず確認してください。

Q. 研修を修了したら、何か国家資格になるのですか?

A. いいえ、障害者ピアサポート研修は国家資格ではありません。しかし、先述の通り、ピアサポート体制加算の算定要件を満たすための公的な研修であり、ピアサポーターとしての専門性を証明する、非常に価値のある「修了歴」となります。これを「任用資格」と呼ぶこともあります。

Q. 精神・発達・身体など、障害種別で研修内容は違いますか?

A. 国が示す標準カリキュラムは、障害種別を限定していません。ピアサポートの根底にある理念や技術は、どの障害分野でも共通だからです。ただし、実施団体によっては、精神障害分野での実績が豊富であったり、特定の障害に特化した内容を一部盛り込んだりする場合があります。ご自身の関心に合わせて、研修の特色を確認するのも良いでしょう。

【キャリアパス編】研修修了後の働き方と活躍の場

この研修は、受けて終わりではありません。その先には、専門職としての新しいキャリアの可能性が広がっています。

事業所でのピアサポーターとしての役割

研修を修了した方は、所属する事業所内で、正式に「ピアサポーター」としての役割を担うことになります。利用者の相談に乗るだけでなく、他の職員に対して当事者視点からの助言を行ったり、個別支援計画の策定に関わったりと、チームに新しい風を吹き込む、重要な存在となることが期待されます。

ピアサポーターの求人の探し方

ピアサポート体制加算の拡大に伴い、「ピアサポーター」を募集する求人も少しずつ増えています。ハローワークの専門援助部門や、障害者向け転職エージェントに登録し、「ピアサポーターとして働きたい」と伝えることで、そうした求人情報を紹介してもらえる可能性があります。研修修了という実績は、あなたの大きなアピールポイントになるでしょう。

さらなるステップアップ|指導者としての道

基礎研修、専門研修を修了し、十分な実践経験を積んだ先には、「指導者養成研修」という道もあります。これを修了すれば、今度はあなたが、未来のピアサポーターを育てる「講師」として、研修の壇上に立つことも夢ではありません。自らの経験を、より多くの人に伝えていく、非常にやりがいのあるキャリアパスです。

まとめ

この記事では、「障害者ピアサポート研修」をテーマに、その全体像から、基礎・専門研修の具体的な内容、そして全国での探し方まで、網羅的に解説してきました。
この研修が、あなたのキャリアや事業所の未来にとって、いかに価値ある一歩であるかをご理解いただけたかと思います。

最後に、この記事の要点を改めて確認し、あなたの次のアクションに繋げてください。

  • 加算の要件となる研修
    この研修は、ピアサポート体制加算を算定するための必須要件です。その重要性を理解することが、すべての始まりです。
  • 研修はレベル別
    まず土台となる「基礎研修」、より専門的な「専門研修」、そしてリーダーを養成する「指導者養成研修」の3段階があります。目的に合わせて、受講すべき研修を選びましょう。
  • 情報の探し方が鍵
    研修情報は、各都道府県の障害福祉担当部署が管轄しています。記事内のリンク集を活用し、あなたの地域の最新情報を定期的にチェックすることが重要です。
  • 資格ではなく「任用要件」
    この研修は国家資格ではありませんが、加算を算定する上で、ピアサポーターとして認められるための公的な「任用要件」としての役割を持ちます。
  • 広がるキャリアパス
    研修を修了することは、事業所内で専門職として活躍する道や、将来的には研修の講師(指導者)として、ピアサポートを広める側に立つ可能性も拓きます。

障害者ピアサポート研修は、単に知識を学ぶ場ではありません。
それは、自らの「経験」という唯一無二の資産を、他者を支える「専門性」へと昇華させ、同じ志を持つ仲間と出会うための、貴重な機会です。

この記事が、あなたのその大切な一歩を、力強く後押しできたなら幸いです。

参考文献・出典元リスト

本記事で解説した障害者ピアサポート研修に関する情報は、主に厚生労働省が示す資料に基づいています。標準的なカリキュラムなど、より詳細な一次情報を確認したい方は、以下の情報源もご参照ください。

  • 厚生労働省「障害者ピアサポート研修の実施について」
    ピアサポート研修の標準カリキュラムや、実施要綱などが定められた国の公式通知です。研修内容の根拠となる資料です。
    (参照:「障害者ピアサポート研修 実施について 厚生労働省」などで検索)
  • 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」
    ピアサポート体制加算の最新の算定要件や単位数などを確認できる公式資料です。
    (参照:厚生労働省公式サイト
  • お住まいの都道府県・指定都市の障害福祉担当部署
    実際の研修の募集要項、日程、申込方法など、地域ごとの具体的な情報については、各自治体の公式サイトで確認するのが最も確実です。
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